オンラインで話すのと、リアルで話すのは、やっぱり違う、の正体

July 6, 2022

はじめに

コロナが始まってはや2年以上が経過しました。ぼちぼちそんなコロナ禍の規制も緩和され出して、最近は街に人がまた戻ってきたように感じます。皆さんも人と会うことを楽しんでいる頃じゃないでしょうか。

さて、今回のコロナの蔓延によって、社会様式は大きく変化しました。徐々に導入されつつあったオンラインミーティングやテレワークもコロナを機に、一気に普及しました。

この「オンラインで会う」という新しい生活様式は、コロナが落ち着いてきたとともに、通常通り対面で会う形式に戻ったものもありますが、今後も引き続き根付いていくものもあると思います。

ただ、このコロナ禍の3年くらい、ずっと気になってたことがあるんです。

というのも、何か製品を作っている、だとか、その商品のチェックは実物をリアルでみないといけない、などの、「リアルで会わないと仕事にならない」という人もたくさんいますが、一旦そういうものではない仕事について考えると、そもそも、必要な情報を伝達するということについて、すごくロジカルにいえば、オンラインで十分なはずなんです。

チャットとzoomがあれば、必要な情報は伝えられ、一応仕事自体は成立するということは我々も実感しました。なんなら、場所や時間の制約にとらわれずに人と人が繋がることができ、すごく無駄がない。なんて素晴らしいことか。

そのはずなのに、zoomでよく人とは話しているはずなのに、一応必要な情報のやりとりはできているはずなのに、なにか違うんだよな、なにか物足りないんだよな、、、なんでなんだろ。と思った人は私だけではないはず。

結局zoomで会えるとみんなわかった時代になっても、わざわざ人は街まで出かけて色々な人に会っているわけです。

じゃああえて今、リアルで会うということの意味とはなんなんでしょうか。


自己紹介

前置きが長くなりましたが、私は株式会社FEEEP(フィープ)という会社の中でマーケティングを担当しています。そしてFEEEPは、「会うことの可能性を引き出す」というコンセプトで新しいサービスを開発している、東京拠点のスタートアップです。

サービスの開発を去年から開始してからというもの、この「人と会う」ことの意味やその価値、可能性ってなんなのだろう、ということについて私たちはずっと考えてきました。今回、現時点の自分たちが見つめ続けた、「会う」ことについての話を、あたためてきたサービスのお披露目と共に、お話しさせてもらえたら嬉しいです。(あくまで我々の解釈です)


私たちは「会う」ということに何を求めているのか

さて冒頭の話に戻ります。

結局、話自体はzoomなどのオンラインミーティングツールやチャットなどの普及でいつでもどこでもできるようになったはずなのに、私たちはわざわざ外向けの服装に着替えて、電車に乗って誰かに会いにいく。普通に考えたら無駄で効率的ではないのに、わざわざそういうことをするのはなんでなのか。

逆に、対面じゃなくていいな、と思うのは、一方通行式のセミナーとか、仕事関係では、単純に情報を共有するためのミーティングとか、プロジェクトの進捗を報告するためのミーティング、など、必要な情報が伝わればなんでも良いような類のミーティングではないでしょうか。そのためにわざわざ時間をかけてどこかにいくのは無駄と思うようになりました。

つまるところ、「リアルで会って話したい」と思うのは、論理的に必要な情報のやり取りでは足りないと思っている場合です。意識的ではなく本能的なものもあるかもしれませんが、その相手に対して、必要最低限の情報以上の「なにか」を求めて、私たちは街に繰り出し、その人に会いにいっている、ということなのです。


リアルで会うと満たされる「なにか」とは何なのだろうか

やはりzoomとかで話すのと違い、リアルで会うと、何か満たされたような充実感や楽しさがあると思います。この満たされる「なにか」とは何なのか。

①外界からの刺激による幸せホルモン「オキシトシン」の分泌

疲労外来医師の工藤孝文氏によれば、基本的にこの満たされた感覚、「なにか」というのは、「オキシトシン」と呼ばれる神経伝達物質、俗に幸せホルモンと呼ばれるものです。

工藤氏は、「私たちは普段、人とコミュニケーションをしながら幸せホルモンのオキシトシンを分泌させたり、適度なストレスを感じたりして、癒しや刺激を得ています。ところが人に会わないと、こうした癒しや刺激がなくなり、孤独感がつのって精神のバランスを崩しやすくなります。」と述べています。

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特に一人暮らしで、巣ごもり生活をしていると精神面に不調をきたしやすいのは、他人との何気ないコミュニケーションがほぼなくなってしまうからです。

②リアルで会うときの「刺激のバランスの良さ」

また、コミュニケーション自体は、zoomでもチャットでも取ることは可能ですが、リアルで会うことのメリットとして、その「五感がバランスよく刺激される」ことがポイントに挙げられています。

工藤氏は「米国の心理学研究で、被験者が触覚のみ、視覚のみ、聴覚のみで人に会う実験を行なったところ、触覚のみの場合は信頼感や温かさを、視覚のみの場合は冷たさを、聴覚のみの場合は心の距離を感じていた。握手やハグなどで触れ合うと五感が刺激され、脳によい影響がもたらされる。また、人と対面して話すだけでも同様の効果が得られることがわかった。」と紹介し、テレワークが推奨される時代でありながらも、心の健康には対面での会話が欠かせないと結論づけています。

zoom等のコミュニケーションに対して、多くの人がリアルで会うとやっぱり違うよね、という感覚を抱くのは、そもそもの刺激やオキシトシンの分泌量、そしてそのバランスが違うのもありますが、この触覚による「信頼感や温かさ」で満たされたり、聴覚のみでは補えない「心の距離の近さ」で満たされたりしているからということなのではないでしょうか。


リアルで会うとなぜ私たちは親密になれるのか

先程の話で、リアルで会うと心の距離が縮まり親密になれ、信頼感に違いが出るという話になりました。確かに感覚的には分からなくもないですが、実際この現象は何に起因しているものなのでしょう。

心理学的には、信頼の醸成には、「共在感覚」と「自己開示」の要素が大事である、と言われています。

共在感覚
「自分が組織や共同体の一員として共に在る感覚」のことを指す。同じ空間にいることは、所属意識を生み出し、組織や共同体のメンバーを安心させる効果を持つ。また、共在しているからこそ、表情や身体の動きなどのノンバーバルコミュニケーションを無意識に読み取ることも可能になる。

自己開示
自らの悩みや壁などの自分事を周囲に開示し、共有すること。行った側は自分の内面が明確化され、受け手側は相手から自己開示の対象とされたことによって、自分に対する好意や信頼を確認できる。立場や年齢を超えた双方向の自己開示は、信頼関係の構築や維持に役立つ。さらに、自己開示にはストレスを低減するというメリットもあるとされている。

https://www.workersresort.com/jp/culture/terework-communication/

①オンラインによる「共在感覚の欠如」

オンラインでは、そもそも同じ空間には一人しかいないので、共在している、という感覚は失われます。また、zoomで話していても、画質の問題であったりとか、ネットの音質の問題であったりとか、同じ空間にいれば汲み取ることのできる情報の伝達(ノンバーバルコミュニケーション)がしづらくなります。

コミュニケーションで伝わるもののうち、言語の割合は7%しかなく、他の93%(話し方が38%、ボディランゲージが55%)のノンバーバルコミュニケーションに頼って私たちは情報を伝達しています。

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このコミュニケーションで大部分を占めるノンバーバルコミュニケーションがオンライン環境になると遮断された感覚、もしくは実質曇りガラスを隔てたような感覚になるわけです。

そうすると話していても、相手が何を感じ取っているか、どう思っているか(「はい」と答えていても絶対そう思っていないことだってあるはず)を細かく汲み取れずに、不安になりながら会話を続けるハメになるわけです。

これによって、オンライン環境では、この信頼醸成の重要な要素である「共在感覚」が不足してしまいます。その結果、これまでずっとリアルで会ってきた人間関係ほどの密な関係をここ3年で新しく作るのが難しくなっている、ということなのだと思います。

②オンラインによる「自己開示の不足」

さらに、信頼関係の醸成には、お互いのことをよく知るということが必要です。これには相手とそれぞれの情報(仕事以外のことも)について開示していくプロセスが存在しますが、テレワーク下において、この自己開示は非常にしづらい環境になりました。

すごくプレーンな言い方をすると、「雑談をする機会が少なくなった」ということです。

テレワーク下では、zoomを繋ぐのはオンラインミーティングがセットされている時で、話すことが決まっています。事前にアジェンダは用意されているわけですから、それにそって議題を消化して、終わったらzoomを切って終わってしまうわけです。雑談はほぼ生まれません。わざわざ雑談しようぜ、といって誰かにzoomを持ちかけるということも、意識的に企業が取り組んでいる場合を除いてはほぼないはずです。

ではチャットに打ち込むか、というと、それも少しハードルがあります。周りがどんな空気で仕事してるかわからないので、雑談を投稿しても反応してもらえるかわからないし、公衆の面前で仕事と関係ないチャットが残ることに抵抗感がある人も少なくないのではと思います。

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リアルで会っているということは、その「共在感覚」という人間関係構築のベースが存在し、その上でお互いが「自己開示」しやすい環境にある、ということなのです。そして、五感をバランスよくお互いに刺激しあってコミュニケーションを取ることによって、この人と話して楽しい、親密だ、信頼できる、という感覚が生まれてくるわけです。

だから誰かと親密になりたい、信頼を得たい、と思うのであれば、対面コミュニケーションはなくてはならない手段だと、私たちは感覚的に捉えているのではないでしょうか。


ビジネスに「リアルで会う」は必要か

リアルで会うと親密な関係になりやすい、信頼関係を築きやすいという話をこれまでしたと思います。

ただ別に、仕事ではそんなに親密な関係になりたい人なんていないし、現状仕事は回っているのだから、必要最低限の情報のやりとりだけでよくないだろうか?というスタンスの人も当然いると思います。生産性が落ちるので、社内ではそういった無駄なコミュニケーションを排除した方が良いのでは、というのも当然あり得る考えです。

しかし、どうやらこの「信頼関係の構築」は組織の生産性と大きく相関があるようなのです。

信頼関係と組織の生産性の関係

人の脳内ホルモンと「信頼」の関係を初めて解明したチームの一員であるポール・J・ザック氏は著書の『トラスト・ファクター』で、信頼関係が組織の業績や生産性に影響するということについて述べています。

ザック氏によれば、「優れた業績を上げている組織ほど従業員同士の信頼度が高い」とのこと。1,000名以上を対象に、信頼関係がパフォーマンスにもたらす影響について調査した結果、組織への信頼度が上位4分の1の企業で働く従業員は下位4分の1の企業で働く従業員に比べて、「生産性が50%」「仕事に対するやる気が106%」「勤務中の集中力が76%」高いことが明らかになったそうです。

ビジネスにおいて信頼関係を構築することは、働くことへの満足度や生産性の向上になくてはならない要素だと言えます。

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Googleが考える「信頼」のチーム力学

また、Googleもチームの効果性についての調査を行っています。世界中のマネージャーから集めた情報をもとに、180のチームを分析した結果、リサーチチームは、真に重要なのは「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」であることを突き止めました。

そして、チームの効果性に影響する因子として重要な5つのものとして、「心理的安全性」「相互信頼 」「構造と明確さ」「仕事の意味」「インパクト(目的達成への貢献)」を挙げており、チームメンバーに信頼関係があることが重要な要素の1つであるということがわかりました。

このリサーチによれば、相互信頼の高いチームメンバーはクオリティの高い仕事を時間内に仕上げることができ、一方、相互信頼のチームメンバーは責任を転嫁するようになるとのことです。


これからは「対面コミュニケーションを賢く活用する」時代になる

ここまでで、リアルで会うと私たちはなぜ満たされるのか、そしてリアルで会うことによって親密で信頼し合える関係を築け、ビジネスであれば生産性を向上させることができる、というお話をしてきました。

とはいえ、毎日出社するのは時間の無駄だし、オフィスにいったところで、自分の仕事がしたいのに他の人に捕まって仕事が進まないことも多いから、結局生産性って落ちちゃうんじゃないの?という意見もあるのではないでしょうか。

それはまさしくその通りだと思います。しかしながら、リアルで会わないと築けない人間関係もある、、といったところで、私はアフターコロナの時代は、「この相手とは信頼を作っていきたいぞ」「この相手とは距離をつめておきたい」というような場面に絞って、賢くオンラインとリアルでのコミュニケーションを使い分ける時代が来るのではないかと思っています。(私たちはこれをmeeting3.0と呼んでいて、それについてはまたいつかnoteで紹介できれば)

例えば、絶対に成功させたいプロジェクトのキックオフや最初の数回のミーティングはチームの結束を高める、ということが重視したいですよね。また、営業やコンサルティングなどのように、そもそもクライアントと信頼関係を深めていくのが大事、という職種もあります。

こういった職種の人たちは特に、zoomで会える時代だからこそ、オンラインでのコミュニケーションで無駄を省きながらも、適宜必要に応じて対面コミュニケーションを使い分ける、組み合わせる、ということがこれからは必要な時代になると考えられます。

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対面とオンライン、それぞれの特徴をまとめると

今後使い分けていきたい、対面コミュニケーションと、オンラインコミュニケーション。これまでの話を踏まえて特徴をまとめてみました。

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これらのリアルとオンラインの特徴を参考に、賢く組み合わせていけると、よりビジネスでも大きな成果を出せそうですね。


というわけで、対面コミュニケーションの効果を最大にする会員制ミーティングラウンジ、始めます。

結局宣伝かよ、と思った方、いらっしゃるかも知れません。

すみません、その通りです。ここからは宣伝です。なので興味ある人だけ読んでもらえればと思います。ここまでみなさん長文の記事にお付き合いいただきましてありがとうございました。

さてさて、今回FEEEPでは、対面コミュニケーションの効果を最大にしようという試みで、ミーティングラウンジを作りました。ティザーサイトはこちらから。興味のある方、覗いてみてください。

(リンクと画像)

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